Anouncement

発達障害専門外来が小中高の教員教諭向けの諮問・相談受付と匿名化フィードバックの実施の体制整備へ:APD聴覚処理障害にも対応へ

 

 福島県教育委員会(https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/17.html)は、県内の調査で福島県内全ての小中高校の通常学級に通う約18万人のうち、 障害者差別解消法が定める「合理的配慮」の対象となる、発達障害児らが9299人いる (全体児童生徒数の約2%)ことを明らかにした。しかし、これらの児童生徒のうち約70%には、学内活動・学級授業での様子から、学校側が何らかの発達障害の疑いを感じながら、それを保護者や本人に伝達して情報共有することはできていなかった。学校側が保護者への伝達・情報提供を躊躇する事情としては、「障害があるかもしれない」との教員からの告知に対し、保護者の側からしばしば強い反発があり、その後のさらなるトラブルや信頼関係の悪化につながるという懸念がある。学校側が児童生徒に発達障害の懸念を抱き、保護者にいよいよ告知に移ろうと考える段階では、すでに学級運営上の支障が顕在化しており、それまでに教員教諭と保護者の関係も悪化していることも少なくなく、そのような学校側の告知を保護者側が「担任教師による感情的で一方的な決め付け」として反発するケースが多いことも、教育現場ではよく知られている。このように学校側からの保護者への告知が不調に終わるケースが懸念される背景には、その学校側が発達障害の懸念を抱くに至った過程と評価に客観的な指標を根拠として充分に準備できていないことがあげられる。学校で巡回カウンセラー等が利用できる客観的な評価ツールには、ASQ・LDI-R・PRSなどがあるが、その備置状況はある1つの県の中心的な官舎・図書館等資料集積施設に「資料」として1部が「貸し出し用資料(校長による許可と申請が必要)」または「閲覧のみ」として保存されているだけであるなどそのaccessibilityとavailabilityは限定的であり(地域地区によってその現状と事情はさまざま)、充分に活用されている状況にはない。また、仮に利用できたとしても、ASQ・LDI-R・PRSだけではASD自閉症スペクトラム・ADHD・感覚プロファイルの偏り(APD聴覚処理障害を含む)の客観的な指標とはなりえない。

 

 このような福島県教育委員会の調査とその調査結果の発表を受けて、発達障害専門外来(九州ベテルクリニック福岡発達障害専門外来 福岡県子育て支援事業登録医療機関)は、福岡市内(博多区・中央区・西区・南区)の公立校及び九州全県の私立校の小学校・中学校・高校の教員教諭(常勤非常勤・管理職役職の如何は問わない。特別支援教育コーディネータの任用任命の如何は問わない。)からの諮問・相談を受付ける体制を整備する。その学校でのことに関する限りは、地域をかけもって管轄する巡回スクールカウンセラー(臨床心理技術者[認定心理士、心理検査士、学校心理士 、応用心理士、公認心理師、その他臨床心理士等または精神保健福祉士・社会福祉士などを想定しているが任用資格は問わない。])からの諮問・相談も当面のあいだ受付ける。

 児童生徒のプライバシーに配慮し、諮問・相談をする教員教諭・巡回スクールカウンセラー(以下、「教員教諭等」)は、対象児童生徒の氏名住所等の情報を申告する必要はない。諮問・相談は、教員教諭等が、オンラインサポートチケットシステム・Moodle遠隔学習E-learningシステムの医療機関教職員連絡システム・メール・FAX・電話で行うことができる。

 従来、文部科学省は「発達障害を含む障害のある幼児児童生徒に対する教育支援体制整備 ガイドライン」において、「医療的ケアが必要な児童等に対する支援に当たって,特別支援教育コーディネーターが医療機関等の専門家と連携を図る必要がある場合には,積極的に協力することが望ましい(平成29年3月文部科学省初等中等教育局特別支援教育課長)」として積極的な指針を示していた。また、同省は、局長通知19文科初第125号 において、「各学校及び各教育委員会等は~医療、保健関係機関との連携を図ること。」と具体的に指示していた。 しかしながら、現実としては具体的な連携はほとんど進んでいないというのが実情であった。

 教員・教諭等からの諮問・相談を受付けるに際しては、CARS・ASQ・SCQ・SRS-2・ADHD-RS・CAARS・LDI-R・PRS・JSI-R・APD聴覚処理障害聞こえの困難さチェックリスト・SM社会生活能力検査・MSPA・TTAP・VinlandⅡ等の第三者観察者評価方式でのRating Scale評価尺度を用い、その結果を担当医が匿名化して評価書にまとめて諮問・相談元の教員・教諭にフィードバックする。第三者観察者評価方式の評価尺度は、その児童生徒をよく知る指導者が回答し、それによって妥当な評価ができるように標準化されており、児童生徒本人に回答を求めたり面接や同席を求めたりする必要がないように設計され、一部は所謂ゴールデンスタンダードとして国際的に臨床において実施・運用されている(SRS2・CAARS・ADI-R等)。それらの客観的な評価尺度によるフィードバックを受け取った教員教諭は、それを今後の学習計画・支援計画の策定や見直し並びに保護者への告知等の実施不実施の意思決定と時期態様の検討の資源とすることができる。また、同発達障害専門外来はゲーム障害専門外来と思春期の性別違和の専門外来も隣接して有していることから、発達障害に併せてゲーム嗜癖・物質依存・非行触法兆候・不登校引きこもり兆候・性別の違和感の様子などがある場合には、教員教諭はこれも同時に相談することができる。受付けの定員は、福島県教育委員会の調査結果に鑑み、当面は1校あたりで1学年生徒数の2%以下・2名以内(小学校の場合は1校あたり12件以内、中高の場合は1校あたり6件以内)となる見込みである。2019年1月2日から進級前事前相談を受付け、2019年4月1日から正式な諮問・相談の受付けの実施を開始する。教員教諭等が当該事業のサービスを利用するには、権限ある管理職(校長・教頭・学年主任等)の同意及び所定のリンクからの「子育て応援パスポート」のダウンロード・提示が必要となる。

 しかし、これらの匿名化評価はあくまで教員教諭の指導・告知に際しての検討資料に過ぎず、診断に代わるものではないので、対象児童生徒の保護者が診断・加療・公的支援を希望する場合は、個別に別の市中医療機関を受診する必要がある。同発達障害専門外来では、教員教諭から諮問・相談を受付けた案件については、保護者・児童生徒ら本人からの相談・照会・受診依頼は受付けていない。客観的な評価尺度を根拠の1つとして、教員教諭から保護者への円滑で穏便な告知とコミュニケーションの端緒となることが期待されている。なお、同発達障害専門外来では、発達障害遺伝子検査及びオキシトシン治療、TEAACH・ABA・Cognifit導入支援等の、臨床における九州圏福岡での先進的な試みにも積極的に取り組んでいる(全て自由診療・自費診療のみ。保険診療・生活保護・医療扶助・その他の公的給付の取り扱いはなし。)。